岩手大学大学院教育学研究科
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Messages from < 社  会  科  教  育  専  修 >

今野  日出晴 教授;社会科教育
  社会科は,社会をどのように認識し,そのなかでどのように生きていくのかを<考える>教科です。社会科教育は,そうした社会科のあり方を問い直し,社会科それ自体の学ぶ意味を考えようとする試みでもあります。講義や演習では,社会科教育,地理・歴史教育における実践上の諸問題を究明するうえで根拠となる授業理論の検討を通して,社会科教育の研究方法の修得をめざしています。
  私は,これまで,歴史教科書,歴史教育実践,歴史叙述などを対象に,歴史教育の語られ方(問題のされ方)に注意を払いながら研究してきました。特に,戦争体験や被爆体験を聞き取るなかで,過去の一人一人の「生きられた経験」が織り込まれた歴史叙述とはどのようなものなのか,そして,その「生きられた経験」が現在を生きる子どもたちとどのように出会いスパークするのか,教室が<歴史的思考の生まれる場>となるための内容と方法を模索しています。

土屋  直人 准教授;社会科教育
  戦前・戦後の教育史、教育政策などを視野に入れつつ、政治的教養・市民的資質の形成という問題意識から、公民教育の歴史・理論及び実践について理解・考察を深めています。社会科・公民科の教科内容と、その背景にある関連社会諸科学についての知見を深めるとともに、これまで歴史的に蓄積されてきた公民教育論や小・中・高校公民学習の実践記録の講読と討論などを通して、公民教育の目標原理や内容構造・授業方法などをめぐる諸問題について考察し、教育学的知見を高めることにもつとめています。

佐藤  眞 准教授;経済学
  これまで、主として建設労働問題について調査研究してきました。多くの建設現場労働者は、就労形態=日雇、賃金=日給、他にも技能形成、社会保障、組合運動などの点で、独特の位置を占めています。現代日本の労働者階級の構造的特質を探るうえで、建設労働者の状態分析は量的側面からも質的側面からも必要な研究分野であると考えてきました。この研究は現在進行形です。また、職業指導の分野、とくに新規学卒の労働市場を研究しています。最近では、専門高校における「日本版デュアルシステム」に関する調査報告をまとめたところです。

菅野  文夫 教授;歴史学(日本史)
  自国史の利点は,比較的身近なところの研究の素材があることでしょう。そこで本研究室では,学生諸君が史料(古文書・記録・編産物などの研究素材)を縦横に扱えるようにトレーニングすることを重視しています。『吾妻鏡』などの中世史料,盛岡藩『雑書』などの近世史料の読解力を高め,史料に接する際の学問的な手続きを身につけられるようなプログラムを用意します。もちろん,全国的な学界状況を把握できるように,基礎的な知識と文献検索の手法の習得も重視しています。
  菅野の研究テーマは日本中世史で,時代としては平安時代後期から統一政権期(豊臣秀吉の時代)までを扱います。研究上の関心は証文史と中世奥羽史の2点。前者は,日本の文字社会の展開の上で,中世社会成立の意義を検討しようというもの。後者は岩手県地域を中心とする政治史の解明が主であり,12世紀初頭に成立した奥州藤原氏権力の問題から,16世紀末の奥羽仕置に至る諸勢力の消長を考察します。

安井  もゆる 准教授;歴史学(西洋史)
  世界史研究室では外国史について研究を行っています(外国史は西洋史と東洋史に分かれますが,本研究室には東洋史の教員がおらず,西洋史中心となっています)。世界史というと,皆さんは高校で古今東西の数多くの出来事や人物について学び,憶えなければならない知識の量に頭がはち切れんばかりになった経験もおありかと思います。こうした世界の歴史に関する幅広い知識の習得はそれはそれで重要なことで,是非がんばってほしいのですが,大学で勉強する世界史はこれとは少し違います。高校の世界史が「広く薄く」だとすれば,「狭く深く」とでも申しましょうか。ある事象を対象に,事実関係の探索やその歴史的意義などを掘り下げて考える。例えばフランス革命一つ取っても,解釈や評価をめぐって様々な意見があります。これに対し,関連の史料を読んだり,あれこれ考えたりしながら,自分なりのフランス革命像を打ち出していく。これが本研究室でやっていることです。一人の人がやれる範囲は自ずと限られてきますが,しかしある歴史事象を掘り下げて見ていくことで,全体的な歴史を見る目を養うことができます。

遠藤  匡俊 教授;地理学
  地理学研究室では,地形や気候,都市や文化あるいは環境問題などの研究と教育を行っています。
  講義や演習・実習だけでなく,1週間ほどの全国巡検に参加することで現地調査の経験を深め,地理学的なものの見方を培います。2003年は,京都の清水焼,京友禅,宇治茶,琵琶湖の水質,彦根城,近江商人の地を調査しました。2004は,北海道のえりも岬の植林,釧路湿原,酪農,野付半島の歴史,サロマ湖,札幌のビール工場などを調査してきました。2005年は、静岡の登呂遺跡、浜名湖の漁業、ヤマハのピアノ生産、お茶とみかんの栽培、焼津の漁業などを調査し、2006年は、新潟の魚沼産コシヒカリ、小千谷縮、佐渡島の流人文化、たらい舟漁業、佐渡金山、トキの保護、姫崎灯台などを調査しました。
  学生自身の自主的な学習・研究に重点が置かれ,教員からは必要に応じて助言を与えるという形式をとっています。

今泉  芳邦 教授;社会学
  社会学という学問は,一言でいえば家族・都市・農村・地域社会・産業・政治・経済・法・教育など広範な分野における「個人と社会」の関係性について研究する学問です。方法論としては,制度論,文化・価値論,集団論として理論的・実証的に研究されている学問です。私はこれまで農村社会学〈農村社会と農民生活にっいて研究する社会学〉を専攻し,主として日本の農林漁村の社会構造と社会変動について研究してきました。現在の研究課題は近代日本における漁村社会の社会変動です。漁村社会の社会変動研究は岩手県を中心とする三陸沿岸地域の漁村について進めていますが,なぜ漁村研究に関心を持ったかというと,地域社会の研究において漁村社会の研究がきわめて少ないこと,とくに三陸漁村についての研究成果が他地域に比較して少なくまた遅れていたことが消極的な動機です。しかし,積極的研究態度として,本研究が漁村社会学とか水産社会学など名称の問題は別として,漁村社会研究の学的体系化に寄与しうることを確認しながら進めています。

上村  都 准教授;法学
  法とは何か,という問題については,日常生活を行う上であまり意識されないことかもしれません。ところがわれわれの日常生活は,様々な形で法による規律を受けています。そうすることによって社会生活の秩序や安寧が維持されています。つまり,法は,わたしたちの権利や利益を保護し,わたしたちの生活をより良いものにする機能を果たしているのです。本研究室では,現実社会において,法がどのように機能しているかを,具体的な事例を素材に検討することにしたいと思います。その際,オーソドックスな問題にとどまらず,人のリ・プロダクションの問題やバイオ技術の発展をめぐる問題,情報化社会におけるプライヴァシー・名誉保護のあり方,犯罪報道と少年法に関わる問題など,現在問題となっている事柄についても扱っていきます。
  私は,これまで,表現の自由と人格権(例えば,名誉・プライヴァシー権)とのよりよい調整をめぐって,ドイツ連邦憲法裁判所の判例を中心に研究を継続してきました。わが国では,この問題に関しては,民事・刑事の問題として捉える傾向が強いのですが,ドイツでは,名誉・プライヴァシーも憲法上の権利である以上,表現の自由と人格権という二つの憲法上の権利同士の衝突という視点から出発しなければならないとし,両者をより良く調整するための法理をいくつも構築しています。そのようなドイツの調整法理をわが国に紹介し,それらが,どこまでわが国に援用可能なのかについて研究しています。

宇佐美  公生 教授;倫理学
  倫理学は,哲学の一部門として,主に人間社会における価値(善さ)や規範に関わる諸問題を研究する学問分野です。それは「どういう事柄や行為に価値があり,どういう行為を為すべきか」という問題に答える「規範倫理学」。「〈道徳的によい行為〉と言うときの〈よさ〉と〈よい車〉や〈よい医者〉と言うときの〈よさ〉とは,どこが同じでどこが違うか」といった「よさ」の意味を考えたり,「どうして道徳的でなければならないのか」という形で道徳そのものの根拠付けを考える「メタ倫理学」。過去の倫理思想の影響関係やそれらの思想の現代的意義を研究する「倫理思想史」。そして,以上の研究を前提にしながら,たとえば,「遺伝子組み換えはどこまで許されるか」とか「どうして環境を保護すべきか」といった現代社会の具体的な倫理的課題に答える「応用倫理学」などの諸分野からなっています。
  私はドイツの哲学者インマヌエル・カントの思想を当時のヨーロッパの諸思想との関係で批判的に検討しつつ,他方で彼の思想を手がかりにしながら,現代の倫理学上の諸問題を研究してきました。とくに,カントの考えでは「道徳」が成り立つためには,前提として道徳に従う人の「自由」がなくてはならないとされています。しかし他方で人間の行動を含めてすべてを因果的条件のもとで捉えようとする科学は,事実の世界の中に自由が成り立つことを認めません。ではカントが言う道徳はどうやって可能になるのでしょうか。こうした問題を中心として,「自由と平等はどのように両立すべきか」という正義論,さらには「道徳的判断に客観性を期待することはできるか」とか「なぜ道徳的であるべきか」といったメタ倫理学の問題を研究しています。

[大学院生よりのメッセージ]


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