学校教育科
学校教育科の紹介
学校教育科は教育学と心理学の二つのサブコースで構成されています。どちらも奥深く、エキサイティングな学問分野です。
教育学サブコースでは、各教科教育のサブコースとは異なり、教育全体を貫く原理や原則を学んでいきます。担当教員の研究分野は教育哲学・思想、教育史、教育社会学、社会教育学、教育方法学、教育行財政学などです。こうした学問分野は高踏的に思われますが、決して現実の諸問題や授業実践から乖離したものではありません。たとえば、学校教育の理念、道徳教育のあり方、内外の教育の歴史、地域の教育の実態、教師と子どもの関係のあり方、教育に関わる格差問題といった様々なテーマに鋭利に切り込んでいき、さらにオルタナティブを提示していく、極めて現実的な学問なのです。みなさんと一緒に議論できることを楽しみにしています。
心理学サブコースでは、心理学の基礎から応用まで、幅広くかつ専門的に学びます。人間の心と行動を科学的に理解するための基礎的知識を身につけ、そこからさらに心の健康に関する実践的技能や、保健医療・福祉・教育・司法・産業分野それぞれで役立つ実用的技能を修得する多様なカリキュラムが用意されています。そうしたカリキュラムを通して、人間の心と行動への深い理解に基づき、学校および地域における様々な心理的問題の解決に貢献できる人材の育成を目指しています。なお、本サブコースは、厚生労働省および文部科学省の認可を受けて、国家資格「公認心理師」の受験資格を得られる教育体制・カリキュラムを用意しています。(※)
※ 公認心理師資格取得のためには、大学在籍中に「大学における必要な科目」の単位をすべて修得し卒業した上で、大学院において「大学院における必要な科目」の単位をすべて修得して修了、あるいは、「法の規定する認定施設」にて2年の実務経験が必要です。
研究室の紹介 - 教 授 : 田代 高章 -
教育方法学が専門です。何よりも教育の主人公である子どもを中心に、その生き方や学び方の質の変容につながるような、学校カリキュラムの創造が研究テーマです。具体的には、子どもの学力をめぐる問題、総合的学習の内容・方法、子どもの授業参加・学校参加のあり方など。ここ10年、学生を連れて地域の小学校での学習支援にも継続的に入ってますが、学生には多くの実践や理論に出会う中で、教育のあり方を多様な観点から分析できる力をこそつけて欲しいと願っています。
- <研究内容>
- 教育活動における子どもの自己決定の人格形成機能に関する研究
子どもの自己決定の人格形成機能に関する研究子ども参加型のカリキュラム開発 - <講演・講義可能なテーマ>
- 学力問題、総合的学習の課題、子どもの権利とは、子どもの学校参加、
大人と子どもの関係のあり方、参加型学習、子ども理解とは
研究室の紹介 - 教 授 : 藤井 義久 -
児童生徒理解に役立つ心理検査の開発及び活用に関心があります。特に、現在は、児童生徒の生活不安と攻撃行動について、心理検査を用いた国際比較調査を行っているところです。
ゼミでは、「学校現場から学ぶ」をモットーに、学生諸君とともに、学校へ出向いて、学校現場が抱えている様々な問題について現状を理解し、学校心理学的観点から適切な対応方法について検討していきたいと考えています。
- <研究内容>
- 心理検査、問題行動の理解と対応、情動研究、心の教育、教師のメンタルヘルス
- <講演・講義可能なテーマ>
- 心理検査法入門、児童生徒理解の方法、問題行動の心理学
研究室の紹介 - 准教授 : 室井 麗子 -
西洋における「主体」・「自己」形成の思想史を研究しています。とくに、「死」について思索することや学ぶことが、「主体」や「自己」の形成とどのような関係性を持ち得るのか、という点に興味をもって取り組んでいます。
講義のなかでは、様々な思想家たちの思索の痕跡に触れながら、彼ら・彼女らの生きざまを学生さんたちと一緒に追体験していきたいと考えています。
- <研究内容>
- フランスの教育思想
「主体」・「自己」形成の思想史 - <講演・講義可能なテーマ>
- 「死と教育」の思想史、子どもと規範
研究室の紹介 - 准教授 : 青山 慶 -
生息している場所と切り離しては生き物について十分に理解することはできないという生態学的な発想で、人間の心や行動などの発達を研究しています。どんな行動でも、それを可能にする周囲の意味や価値と結びついているとすると、新しい行動が現れ出てくるところ(発達の現場)ではいったい何が起きているのでしょうか。
私の研究室では、観察を重視しながら発達の謎にアプローチしています。
ゼミでは、それぞれの学生が自分の関心のあるテーマに自主的に取り組んでいます。テーマはどんなものでも構いません。じっくりと自分のデータと向き合って小さくてもオリジナルの発見を目指せる学生を期待します。
- <研究内容>
- 初期コミュニケーションの発達、遊具のデザイン分析、運転技能の発達、演劇製作過程の分析、発達の理論的研究
- <講演・講義可能なテーマ>
- 発達の先端で身体が探っていること、発達環境のデザイン
研究室の紹介 - 准教授 : 馬場 智子 -
日本の教育は私たちの住む社会に根差した教育理念と実践によって作られてきました。同時に、海外における様々な教育理念や実践の影響を受けたり、またある場合には日本の教育が他国に影響を与えたりして、相手国の教育を変えていくことも少なくありません。このように、今や教育は一国の中だけでは完結しない営みになってきています。研究室では、日本の教育をグローバルな視点から分析し、どのような課題があるのか、またどうすれば解決に向かうのか、ということを一緒に考えたいと思います。
- <研究内容>
- 人権概念の歴史的変容と人権教育の発展、地域文化に根差した教育内容の開発
- <講演・講義可能なテーマ>
- アジアの人権教育の実践と日本との比較、外国にルーツを持つ子どもへの教育支援
研究室の紹介 - 准教授 : 髙田 麻美 -
専門は日本教育史です。現在の研究テーマは、学校と博物館との関係史です。近代日本において学校教育が整備されていく過程で、博物館が学校や教員とどのように関わってきたのかに関心をもっています。
授業やゼミでは、現代におけるさまざまな教育課題について、歴史的に検討していきます。過去の教育に対する歴史的な認識を獲得し、現代における教育のあり方について相対的に考えていきたいと思います。
- <研究内容>
- 学校と博物館の関係史、教員養成史
- <講演・講義可能なテーマ>
- 教育の歴史、教育における多様性の保障、学習者に対する一次的支援
研究室の紹介 - 准教授 : 山路 茜 -
授業にはさまざまな対話が潜んでいます。1人ひとりの子どもが学ぶためにどのような対話が必要なのか,それを支えているものは何か,対話を生みだす授業を教師が学ぶにはどのような対話が必要なのか。これらの問いのもとで「ことば」に注目して学びの関係性や理解の質に向き合っています。
ゼミでは授業を学び手の視点から捉え,起こっていることやそれを生じさせたきっかけ,考えうる課題などを丁寧に読み解く力を学び合いたいと考えています。
- <研究内容>
- 協働学習,援助要請,理解や思考のプロセス,質的研究,授業研究
- <講演・講義可能なテーマ>
- 授業における子どもの学習の見方,授業研究に基づく教師の学習
研究室の紹介 - 准教授 : 本山 敬祐 -
不登校児童生徒に対する社会的・政策的対応を契機として、公教育の担い手の多様化や学校教育の変容が観察されます。一定数の児童生徒が学校外で学びその一部を民間が担っている現状を前提とした教職員、学校、教育行政の役割や、フリースクールとの協働を通じた学校や教育行政の変容を主な研究テーマとしています。
また、学校が子どもにも教職員にも安心・安全な学びの場となるためには、岩手大学教育学部が提唱する学校安全学の構築も重要な研究課題です。安全に関する諸科学に学びながら、深い人間理解に基づく学校安全の充実を目指しています。
- <研究内容>
- 不登校児童生徒への対応を契機とする学校・教育行政の変容、自校データに基づく安全な学校づくり
- <講演・講義可能なテーマ>
- 学校及び自治体による多様な学習機会の保障、日本におけるフリ―スクールの動向、学校安全の充実
兼務教員 ― 教職大学院教授:鈴木 久米男 ―
- <研究内容>
- 教員、学校管理職等の職能成長、研修機会等に関する研究(カナダ・オンタリオ州の事例を含めて)
- <講演・講義可能なテーマ>
- 学校組織マネジメントを踏まえた学校経営、学校評価の取り組み、カナダの学校管理職研修の実態など
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兼務教員 ― 教職大学院教授:立花 正男 ―
- <研究内容>
- 学力向上と教育評価の関わり、学習指導と生徒指導の関わり、数学的な見方や考え方を育てる算数・数学の指導のあり方
- <講演・講義可能なテーマ>
- 目標に準拠した評価のあり方、学級経営における学習指導と生徒指導のあり方、算数・数学教育のあり方、中学校数学の新しい学習指導要領の基本的な考え方
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兼務教員 ― 教職大学院教授:山本 奬 ―
- <研究内容>
- 不登校問題に関する児童生徒及び学校支援、学校ストレス、トラウマティック・ストレス、キャリア発達
- <講演・講義可能なテーマ>
- 不登校児童生徒の理解と支援、学校ストレスと対処行動、自然災害後のトラウマ反応、教育相談の要点
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