東北日本の地下深部には一億年前に形成された古く冷たい太平洋プレートが沈み込んでいます。
この太平洋プレート上面には海水が「含水鉱物」として 固定化されています。
太平洋プレートが沈み込んでいくと、プレート表面温度が上昇し、或る深度で含水鉱物が分解して無水鉱物もしくは水に乏しい含水鉱物が新たに形成されます。
その際に、結晶水の一部が岩石から放出され、上部マントルへと放出されます。
この沈み込みプレートが放出した水は、島弧マントルの融点を引き下げ 部分融解を引き起こします。
さらにその一部は、マントルウェッジを素通りし、温泉水として湧出しています。
岩手県内では、新安比温泉がこのような「プレート由来の処女水」であると指摘されています。
現在沈み込んでいるプレートと対比可能な、かつての沈み込みプレート岩は現在世界各地の造山帯に高圧変成岩として分布しています。
なかでも当研究室では、
・ 北海道カムイコタン変成帯
・ 南部北上母体変成岩ー根田茂体
・ モンゴルアルタイ山脈の高圧変成岩
・ チェコ共和国ボヘミア山塊の超高圧変成岩
の研究を行っています。
右写真下写真 はモンゴルエクロジャイト中の石英脈であり、かつてのプレート深部流体の通り道だったと考えられます。
石英内部に保持された流体の化石を使って、深部流体の化学組成を調べる予定です。
この研究はJAMSTECや秋田大学、京都大学の研究者と連帯して行っています。

