竹本 悠大郎
竹本 悠大郎
TAKEMOTO Yutaro
- 所属科
- 美術教育科
- 職名
- 講師
- 専門分野
-
彫刻
Sculpture
プロフィール
- 長岡造形大学大学院 造形研究科 博士(後期)課程 修了、博士(造形)(2023年)
- 秋田公立美術大学 美術学部 美術教育センター・助手(2023年4月~2025年3月)
- 岩手大学 教育学部 美術教育科・講師(2025年4月~)
専門分野や研究について
彫刻制作と制作理論についての研究を専門にしています。
彫刻制作では木・石・金属など様々な素材が用いられますが、私は粘土・漆・麻布を主な素材とする「乾漆(かんしつ)」という技法を扱っています。奈良時代(7世紀)に中国から伝わった「乾漆」は、日本の古典的な造像技法のひとつです。奈良時代にはこの技法により、興福寺の天龍八部衆像(734年頃)や唐招提寺の鑑真和上坐像(763年頃)などが造像されました。
私にとっての「乾漆」による彫刻制作のおもしろさは、「私自身の思い通りに制作が進まない」ところにあります。例えば漆の硬化には、適当な気温と湿度が必要になります。そのため季節や天候によって、漆が固まるまでに掛かる日数は変化します。その変化に応じていかなければ、制作を続けることができません。こうした素材や自然がつくる「時間」に自分自身を重ねてゆく過程で、新しいイメージが湧いてきます。思い通りにはいかないことを大切にしながら、人間と自然や土地との関係性をテーマとした作品制作を行っています。
講義/ゼミについて
「彫刻基礎」や「造形実習(彫刻)」、「造形特別演習(彫刻)」などの実技科目の講義を担当しています。それらの講義では、人物モデルを用いた粘土での立像制作や、木彫制作、抽象表現、テラコッタ(素焼き)による造形方法など、多様な素材や制作方法について身体的な経験にもとづきながら学ぶことができます。
美術サブコースでは3年生から研究室に所属します。彫刻研究室では、3年生のうちに授業や自主制作をとおして素材や技法、制作理論、彫刻史についての理解を深めます。4年生になるとゼミ所属学生は、それぞれの関心をもとにテーマを設定し、卒業制作に取り組みます。例えば2026年度の4年生2名は、石膏型を用いたガラスによる抽象表現と、麻布を主な素材とした人体表現に取り組んでいます。
そのほかに彫刻研究室では研究旅行として、国内最大の漆の産地である岩手県二戸市浄法寺町を訪ねたり、2026年3月にゼミの成果発表としての展覧会を開催したりしています。
高校生へのメッセージ
大学の魅力は、自分自身の関心のある学問について時間を忘れて没頭できるところにあります。皆さんの関心をさらに拡げ、深めることのできる環境もあります。例えば美術サブコースでは、ブロンズを溶かして型に流し込むための金属鋳造の工房や、電動ろくろや窯を備えた陶芸室など、魅力的な設備が整えられています。そして専門的な知識をもった4名の教員(絵画・彫刻・美術教育・美術史及び美術理論)が、皆さんの研究活動に併走します。
素材や環境との身体的なやり取りをとおして何かを作り出すという営みは、図工や美術だけでなく、あらゆる科目での学びの基盤にあるものだと思います。自分の眼と手をとおして思考すること、思い通りにいかない状況を楽しむこと、答えのない問いに向かい続けること、そうした作ることのなかにある経験は、私たちの人生を豊かにするはずです。岩手県や東北地方をはじめ、全国各地の何かを作ることが好きな皆さんや、作ることについて考えることに関心のある皆さんと、一緒に勉強ができることを心待ちにしています。